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コラム
米粉がつなぐ新しい物語へ。新ブランド「田田田堂」誕生のわけ。
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こんにちは。ハニーマザー代表の西田智祐です。
今日は特別なお知らせがあります!
米粉を巡るモノ・コトを発信してゆく新ブランド「田田田堂―たたたどうー」が、来たる4月23日、弊社よりデビューする運びとなりました。今日は、そのデビューに先立ち、「田田田堂」を立ち上げることになった理由や、私たちが「田田田堂」を通じてやりたいことなど、今描いているビジョンを皆さまにもお伝えしたいと思います。
足元の宝「お米」に目を向けて
これまでもハニーマザーでは、アレルギーをお持ちの方やグルテンフリーを実践されている方にも安心して召し上がっていただける「垣根のないおいしさ」をめざしてきました。乳・卵・小麦をはじめとする7大アレルゲン不使用のものづくりを続ける私たちにとって、重要な存在となったのが「米粉」です。
米粉でつくった焼き菓子が、次第にたくさんの方に喜んでいただけるようになった頃、私たちの中にある思いが芽生えました。それは「米粉の活用法をもっと広げることで、日本の稲作を応援できるのではないか」というものです。とくにパティシエの西田晴美は、実家が米農家だったこともあり、後継者不足やお米が売れないなど、稲作に希望が持ちづらい農家さんたちの現状は、決して他人事ではなかったのです。
そんな矢先に巡り合ったのが、地元兵庫県の地域資源である、最高級酒米・山田錦です。この品種の生まれ故郷、兵庫県多可郡多可町とのご縁に恵まれたいきさつは、以前のハニーマザージャーナルにも書いたとおりです。酒米として優秀なだけでなく、米粉にしてもおいしい、という山田錦の魅力に開眼したことは、これまであまり意識していなかった足元の宝に目を向けるきっかけになりました。
信頼できるパートナー農家さんとともに
産地に伺ってみれば、もともと日本酒離れが進んでいたところに、コロナ禍によってさらなる需要減に見舞われ、酒米の生産は厳しい状況に立たされています。作付面積を余儀なくされた生産者さんの中には、生産の継続を断念する方も少なくなく、それが耕作放棄地の増大につながる懸念があることも、わかってきました。
でもその一方で、山田錦の伝統を絶やしてはならないという熱い情熱をもって栽培に取り組む方たちにも出会いました。そのひとりが多可町坂本の藤岡啓志郎さん。ただでさえデリケートで栽培に神経をつかう山田錦を、できるだけ環境にやさしい有機栽培や減農薬栽培で育てようと、果敢にチャレンジしている若きエースです。
世界に誇れる「日本の米粉食カルチャー」を発信できる存在に
こんなに素晴らしい可能性を秘めた素材が身近にあるのなら、生かさない手はない。そして、これまでのように「小麦粉の代用品としての米粉」だったり、「米粉のわりにはおいしい」と言われるようなものではなく、「米粉だからおいしい」と言ってもらえるものづくりをめざしたい。そして、いずれはその成果を「日本発の米粉食カルチャー」として世界にも発信したい。そのためには、きちんとブランドとして事業を確立する必要がある、そう考えた私たちは、昨年からブランド立ち上げ準備を重ねてきました。それが「田田田堂」です。これに伴い、これまで「ハニーマザー」でご提供していた山田錦の焼き菓子は、「田田田堂」ブランドの商品として中身をアップデートして再出発することになりました。
「田田田堂」という名前には、豊かな実りをもたらす「田」がつながり、そこが人々の笑顔集まるコミュニティになっていくイメージが込められています。私たちは、お米をつくる生産者さんと、私たちと、お客様の距離をぐっと近づけて、米粉を巡って豊かな物語を分かち合えるような関係を築きたいと考えています。
米粉を巡って喜びの循環が生まれるようなモノ・コトづくりを
これまでお世話になってきた、製菓用「ミズホチカラ」の米粉も、もちろん素晴らしいものです。しかしあくまで加工済みの「製品」として仕入れるそれらの米粉について、私たちは生産者の方々の顔も知らなければ、語るべき物語も持っていません。私たちはもっと顔の見える生産者さんたちと二人三脚で歩みながら、モノづくりだけに留まらず、コトづくりにも取り組みながら、ファンの皆さまと稲作のサスティナブルな未来を応援していきたいのです。
たとえば米粉食をご自宅で楽しめるレシピの発信もしたいし、米粉食のある食卓を彩る暮らしの工芸も発掘したい。将来的には、お客様と稲作の現場を訪ねて、生産者さんとの交流や農体験ができる仕組みもつくりたい――。時間はかかるかもしれませんが、1歩ずつ。夢は大きく広がっています。コミュニティが広がれば、いつかは兵庫県産山田錦以外のお米にも、活用の輪を広げていけるでしょう。
モノづくりについては、今はまだ焼き菓子のラインナップしかありませんが、これからはホームクッキングに使える米粉ミックスや米粉麺なども展開していきます。産地とのご縁を生かして、米粉以外の特産品もご紹介できるかもしれません。「はちみつ専門店」のワクを飛び出し、米粉のエキスパートとしても皆さまに価値をお届けしようとする私たちのチャレンジに、どうぞご期待ください。