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コラム

田田田堂の「お米のタルト4種アソート」ができるまで

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この春、田田田堂から新しく登場した「お米のタルト 4種アソート」。クリームたっぷりのタルトを、納得のいくクオリティで全国にお届けできるようになるまでには、多くの試行錯誤がありました。そこでこのタルトに隠された思いやこだわりなどを、開発担当のパティシエ・永井にインタビュー。知られざる開発秘話、ぜひお楽しみください。

お店に来られない方にも、色とりどりのタルトをお届けしたくて

田田田堂の「お米のタルト4種アソート」、もうお召し上がりになりましたか?乳・卵・小麦・白砂糖を使わないプラントベースのタルトが、一人前サイズで4種詰め合わせになっていて、いつでも食べたい時に解凍するだけでOKなのが魅力です。

この4種アソートの構想が生まれたのは、神戸・御影の田田田堂のお店がオープンして間もない2023年の春ごろ。「遠方にお住まいの方など、ご来店がむずかしい方にも色とりどりのタルトをお届けしたい」というのがキッチンスタッフの思いでした。

季節ごとに登場する旬のタルトがショーケースを賑わす、田田田堂の店内。
季節ごとに登場する旬のタルトがショーケースを賑わす、田田田堂の店内。

「実店舗でタルトを買うのと同じぐらい、ワクワクした思いを味わっていただきたい、というのが一番のこだわりでした。ですから食べておいしいのはもちろんですが、それだけじゃなくて色合いがきれいで、箱を開けた時にパッと心が浮き立つような華やかさがある、というのは譲れないポイントでした」

そんなふうに話してくれたのは開発を担当したパティシエの永井。田田田堂に入社する前から、個人でグルテンフリー&プラントベースのスイーツを製造して、オンラインやマルシェイベントで販売していた経験の持ち主です。

2年前から改良を続けてきた、自慢のヴィーガンホイップクリーム

冷凍でお届けするタルトの場合、店頭販売のものと違って生のフルーツを使えないのが悩ましいところ。そこで、生のフルーツに代わって「華やかさ」と「満足感」を叶える重要なカギになったのが、ホイップクリームのクオリティです。

コクのある風味となめらかな口どけが楽しめること。絞り出してデコレーションした形が美しいこと。さらに、冷凍・解凍してもそのクオリティが変わらないこと。その3拍子が揃ったヴィーガンホイップクリームをつくるのは、永井にとっても相当な難題で、完成してからも、さらに美味しくするにはどうすればいいか試行錯誤を重ね、少しずつ配合を変えるなどして今のホイップクリームができあがりました。

色鮮やかなピンクのクリームは、天然のフランボワーズの色を生かしたもの。余計なものは入れないのがこだわりです。

「ホイップクリームの試作はもう何回やったかわかりません。冷凍解凍してもホイップらしいふわふわ感が変わらないようにするためには、乳化剤にかわる自然の食材で、クリームの状態を安定させる必要があり、それでも乳脂肪を使った通常のホイップクリームと比べると、植物性ミルクのクリームはどうしてもゆるくなりがちなんですね。困っていたら晴美さん(チーフパティシエ)が、サイリウム(オオバコの種の外皮をパウダーにしたもの)を凝固剤代わりに使ってコシを持たせる方法を教えてくれました。そこからはもう、0.1グラム単位で量を変えながら、ベストな質感を求めて何度も何度も試作を繰り返しました」

見た目も味わいも、バリエーション豊かに

では、4種アソートがどんな顔ぶれか、改めてご紹介しましょう。

⚫︎タルトショコラ

フルーティーで芳醇な香りの有機カカオマスを贅沢に使い、植物性ミルクをバランスよく配合して、ビター過ぎない風味となめらかな口どけにこだわりました。ふわふわホイップと有機カカオニブが、リッチな味わいを引き立てます。

⚫︎キャラメルナッツ

北海道産てんさい糖でキャラメリゼしたコクのあるナッツを敷き詰めた上に、キャラメル風味ホイップクリームをたっぷりあしらいました。上にのせたクッキーもかわいらしく、クリーミーさとザクザク感が絶妙バランスで響き合います。

⚫︎タルトフランボワーズ

クレームダマンドに有機フランボワーズをたっぷり入れて焼き込み、フランボワーズパウダーを混ぜ込んだ、ピンク色の甘酸っぱいホイップクリームでデコレーション。ジューシーで芳醇なベリー感をお楽しみください。

⚫︎レモンフロマージュ

発芽ナッツと白みそと有機レモン果汁で再現したレアチーズ風クリームに、てんさい糖で皮ごと炊いた自家製レモンジャムをあしらい、ホイップクリームで飾りました。国産レモンの皮を散らして、見た目も香りも爽やかなレモン感たっぷりです。

食に制限のある方にも、おいしく楽しく召し上がっていただけるものを

実は、幼い頃はアトピー体質だったという永井。乳・卵・小麦にアレルギーをお持ちの方や、グルテンフリーを実践されている方にも安心して召し上がっていただけるお菓子をつくることに対しては、人一倍思い入れがあります。

「小さい頃から母が食べものに気を使ってくれて、アレルゲン除去食とかグルテンフリーのレシピを本で調べて、私のためにつくってくれていたんです。その経験があったので、自分もお菓子をつくるなら、そういうものをつくりたいとずっと思っていました。なんでも好きなものを食べられる人と違って、子どもの頃からいつも何かを我慢しなくちゃいけなかった人たち、そういう人たちに喜んでいただけるものをつくりたいなって」

永井が、店頭に並ぶフレッシュタルトの開発を任されるようになって早3年め。季節ごとに新メニューが登場するため、当初は「いつかはネタ切れになるんじゃないか」という不安もあったそうです。でもテクニックの引き出しが増えた今では、そんな不安も嘘のように、つくりたいスイーツのアイデアがどんどん湧いてくるようになったといいます。

「こういうのをつくってみたい、と提案すると、晴美さんはじめみんなが、“いいね、やってみようよ!”と言ってくれるので、すごくやりがいがあります。それに田田田堂では、有機栽培のお米を米粉に製粉するところからこだわっていて、そこまで米粉を大切にしているお店は、なかなかないと思いますね」

ショーケースの前で目を輝かせているお客様の姿を見るのがうれしくて

永井にとって日々の楽しみは、キッチンの窓越しに、スイーツを買いに来られるお客様の姿を眺めることだそう。

「お客様が季節ごとにどんなものを求めておられて、何に反応してくださるのか、やっぱり気になるんですよね。あとは、小さなお子さんがショーケースの前でパアッと目を輝かせているのを見ると、こっちまでうれしくなります」

そして最近うれしかったのは、苦労の末に完成させた「お米のタルト4種アソート」を実家のお母さんにも食べてもらえたこと。

「感動してました。おいしいって。母もちょっとアレルギー体質なところがあって、市販のケーキを食べると体に多少影響が出てしまうので、最近はほぼ田田田堂のスイーツしか食べないんですよ」

小さい頃から食べるものに気を使ってくれたお母さんへ、この新作はきっととびきりのプレゼントになったことでしょう。

食に制限がある方も、ない方も、みんなが同じ幸せな食体験を分かち合える田田田堂のスイーツ、あなたのティータイムにもぜひお試しください。

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この記事を書いた人

松本 幸

松本 幸

神戸育ち大阪在住のフリーランスライター。著書に、2002-2006年のパリ在住経験から企画編集執筆した「パリ発キッチン物語おしゃべりな台所」がある。江戸落語と文楽が好き。

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