兵庫県の宝ものを数珠つなぎ!〈tamaki niime〉探訪記 | ハニーマザー

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コラム

兵庫県の宝ものを数珠つなぎ!〈tamaki niime〉探訪記

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こんにちは、松本です。
今年のハニーマザーの「敬老の日ギフト」、もうチェックされましたか?今年の目玉は、ハニーマザーが定番で取り扱っているマヌカハニーや山田錦サブレに、播州織の気鋭ブランド「tamaki niime」さんの1点ものアイテムを組み合わせた数量限定セットです。 このギフト企画をすすめるにあたり、ハニーマザーは西脇市にある「tamaki niime」さんへ実際に工場見学へ。伝統を受け継ぎながらも軽やかに、あふれんばかりの遊び心と真摯さで「どこにもないものをつくる」を追求しつづけるクリエイティブ工場の探訪レポ、ぜひお楽しみください。

山田錦だけじゃない!改めて知る、北播磨の豊かさ

ハニーマザー神戸店から車を走らせること約1時間から1時間半。兵庫県の北播磨地域といえば、私たちがすっかりその魅力の虜になっている酒米の王様「山田錦」発祥の地・多可郡多可町を擁するエリアです。酒造好適米であるだけでなく、米粉に加工しても素晴らしいポテンシャルを発揮してくれる山田錦との出会いは、ハニーマザーが北播磨地域の豊かさを発見する大きなきっかけでした。

7月のある日「農園若づる」さんにて農作業体験。クログワイという雑草を手で取っていくのは、思いのほか大変!

多可町で山田錦を無農薬で育てていらっしゃる「農園若づる」さんで農業体験(お手伝いというにはあまりにも微力な……汗)をさせていただいたり、志ある生産者さんをご紹介いただいたりと、北播磨のことを少しずつ知っていく中で、このあたりに素敵な物語を秘めたいいものがいっぱいあることが見えてきました。日本酒をはじめ、ぶどう、地鶏、和牛、手漉和紙(杉原紙)、金物……。どれもこれも、この自然豊かな北播磨の風土・歴史がはぐくんだものです。

そうこうしているうちに耳にしたのが、「敬老の日」発祥の地も、山田錦と同様、多可町だという知られざるエピソードでした。昭和22年に多可町のある村で、村主催の第1回敬老会が開かれたのをきっかけに、まず「としよりの日」が兵庫県で広まり、それがやがて「敬老の日」として全国的に定着したのだとか。

「だったら北播磨セレクトで、敬老の日ギフトをつくったら面白いんじゃない?」そんなアイデアから始まった今年の企画。ハニーマザーが選んだのは、播州織の気鋭ブランド「tamaki niime」さんがつくる心地よさ満点のマスクやショールでした。

 

こんな工場見たことない!足を踏み入れるだけでワクワク

「tamaki niime」さんが拠点を置くのは、多可町のお隣、西脇市。ここは、江戸時代から続く先染め綿織物「播州織」の中心的産地として知られ、とくに高級シャツ生地の生産では、世界でも確固たる地位を築いてきました。

工場入り口の頭上には「一隅を照らす」の文字が。

古い染工所の建物をまるごと活用した本社・工場はまず入り口からしてオーラたっぷり。ドアを開けて中に一歩足を踏み入れると、天井や壁には播州織をかたどった紙のアートオブジェがぎっしり。さらに歩を進めるほどに、「常識を疑え!」などのスローガンや、勢いに満ちた絵が床や壁のあちこちに大胆にペイントされ、思わず視線が釘付けに。そんな異彩を放つ光景に、迫力たっぷりの織機や編機が並び、その間を縫うようにたくさんの若者たちが働いています。聞けば、北は北海道から南は鹿児島まで、日本中から「ここでしかできないものづくりに関わりたい」という思いを持つ人が集まってきているそうです。

時代を感じさせる、1960年代の「力織機(りきしょっき)」。
播州織のストライプを手描きで表現した紙の作品が、スタッフさんたちの落書きアートと遊び心たっぷりに共存して。

大阪で産声を上げた「tamaki niime」ブランドが、この播州織の本場に初めて拠点を構えたのは、2008年。そして、そのブランド名を一躍世に広めたのは、古い織機でゆっくりと、極限までゆるく織り上げたオリジナルショールでした。遊びのある織り地がもたらす、空気をまとうように軽くやわらかな極上の肌ざわり。それは、代表の玉木新雌さんが、職人さんと二人三脚でつくり上げたオリジナルな製法であり、従来の高級シャツ生地中心の「播州織」のイメージからは大きくかけ離れた、新しいクリエーションでした。

 異なる織り組織がランダムにあらわれるフラッグシップ作品「オンリーワンショール」。

 

一期一会の作品を「つくっては出す」。鮮度の高いものづくりの秘密

オリジナルショールが広く知られるようになってからは、職人の高齢化や後継者不足という現実の中で、やりたいものづくりを守り続けるために、古い織機を1台、また1台と買い入れて自社内でできることを増やしていった「tamaki niime」さん。

小さな釜で糸のカセ(束)を染める作業。同じ色の糸を大量に作ることはしません。

今では、糸の染めから、撚糸(複数の糸を撚り合わせてオリジナルの糸をつくること)、織り、デザイン、縫製まで自社工場で行っており、伝統の先染め織物だけでなく、藍染や絞り染めなどの後染め(製品染め)やニットまでこなしています。さらに敷地内にある畑で、無農薬野菜やお米のほか、綿花や染料の藍、マリーゴールドなども育てているというのですから、その情熱・エネルギーたるや半端ではありません。いずれは自社で栽培した綿花や、飼育している羊から刈った毛で糸を紡ぎ、それを染めて織りたいというのが目標なのだとか。

工場の広々とした敷地内を羊5頭が自由に行き来します。

その半端ではないエネルギーを支えているのは「唯一無二のものをつくりたい」という思い。大量生産の真逆を行く、「同じものが2つとない」ことこそがブランドの美学なのです。だから1反1反、色の取り合わせから柄のピッチまで、その日限りの一期一会。「新鮮な野菜みたいに、できたて採れたてホヤホヤのもの、鮮度の高いものをお届けしていくことが理想、といつも玉木は言っています」というスタッフさんの言葉が印象的でした。

そんな工場から生み出されるアイテムは、「色」の持つ根源的なパワーに満ちて、性別や年齢、人種など、一切の垣根を超えて、あらゆる人がいかようにも自分らしく着こなせるのが魅力。今や海外からもたくさんオーダーが舞い込んでいるというのも納得です。

 

物語が詰まったマスクとショールを、大切な人のお守り代わりに

今回、敬老の日ギフト用にセレクトしたのは、「tamaki niime」さんの特製マスク「タマスク」と、「ルーツショールS」。どちらもコットン100%の心地よさが魅力です。

マスクは表地が布帛、裏地がカットソー生地の二重仕立てで、肌のデリケートな方にもやさしい着け心地。生地の取り合わせといい、耳の痛くなりにくい平紐とのカラーコーディネートといい、いい具合にひとひねり効いています。リーズナブルなお値段なのに、ひとつひとつに「tamaki niime」のロゴ刺繍が入るというひと手間をかけているのも、すべての工程を自社工場で行っている「tamaki niime」らしいポイント。

一方のショールは、「tamaki niime」の定番「ルーツショール」のスモールサイズ。レピア織機という旧式の機械を用い、低速でゆるく織っていくので、糸が空気をはらんでふわふわに。首元にクシュッと無造作に巻くだけでサマになり、ハッとするような色の取り合わせがシンプルな装いにアクセントを添えます。

お出かけにもまだまだ用心が必要な今日この頃、ストレスのタネは消えませんが、少しでも心が晴れるように、物語の詰まった美しいものを大切な人へのお守り代わりに。きっと喜んでいただける贈りものになるはずです。

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この記事を書いた人

松本 幸

松本 幸

ハニーマザーのコミュニケーションディレクターを務めるフリーランスのコピーライター。神戸育ち大阪在住。著書に、2002-2006年のパリ在住経験から企画編集執筆した「パリ発キッチン物語おしゃべりな台所」がある。江戸落語と文楽が好き。週末菜園チャレンジ中。

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