- トップ
- ハニーマザージャーナル
- コラム
- 有機米粉は実りの秋
コラム
有機米粉は実りの秋
17985
みなさまこんにちは!
有機米粉をこよなく愛する田田田堂(たたたどう)でございます。
有機米粉の原料となる 有機米は「化学肥料や化学農薬を使用しないで作られたお米だけ」で作られます。
田田田堂では100%国産の有機米だけを原料に、全てのグルテンフリー商品を展開しています。
これは生産者さんとのつながりなくして実現できるものではありません。
今回は収穫前のお米の話を伺いに、田田田堂のパートナー農家さん訪問レポートをお届けします。
有機ミズホチカラはここだけ?
田田田堂の米粉ラインナップで最も人気の有機ミズホチカラ。
ミズホチカラは米粉パンのレシピ本を手にしたことのある方なら、一度は聞いたことがあるお米の品種かもしれません。
小麦に比べてふくらみにくい米粉の中でも、製パンに適しているのがこのミズホチカラ。

そのため米粉パンのレシピ本には「米粉(ミズホチカラ)」と指定があるものが多く、米粉パン=ミズホチカラ米粉で作る。のように決めている方も多くいらっしゃるかもしれません。
田田田堂ではこのミズホチカラを農家さんの協力を得て、2023年の秋から有機ミズホチカラ米粉として皆様にお届けしています。

世の中に農薬を使用しない、ミズホチカラというものはほとんど存在しません。
また有機のJASマークを取得して流通している、有機ミズホチカラは私は大変希少価値の高い米粉です。
これほどまでに有機ミズホチカラが希少な理由として、本来この品種は狭い面積に多く植え、農薬・肥料をしっかり入れ、多くの実りを得るという農作法で作られます。
その反面、有機農法というものは、科学的な薬や肥料の力に頼らず、自然の力を借りながら育てるため、ミズホチカラの基本農法の真逆にあり、安易に生産ができないという理由があります。

ミズホチカラの稲はこの地域の特産、山田錦米という酒米に比べると、随分背が低くピンと背筋が伸びていました。
強風に強いこの姿勢も多収穫米である素質の大きな要素なのだそう。
田田田堂の希少な有機米は兵庫県は「多可町」と「加東市」「たつの市」の3か所にまたがって、それぞれの農家さんのご協力のもと生産していただいています。
山田錦の格言「倒して倒さず」
場所は変わって同じく兵庫県の加東市へ。
ここには藤本さんという元公務員であられる、実直な農家さんがおられます。
田田田堂ではブランド立ち上げの翌年になる、2023年よりパートナー農家さんとしてご活躍いただいています。

藤本さんは有機ミズホチカラに加えて、有機農法で酒米の山田錦を栽培されている、日本でも数少ない農家さん。
田田田堂は藤本さんの栽培された、有機山田錦の少し粒の小さい「中米(ちゅうまい)」と呼ばれるお米をゆずっていただいています。
中米は酒米としては粒が小く酒蔵には流通しないため、たとえ希少性の高い有機米であっても価格評価が低いため有機農家さんを悩ます種でもあります。
私たち田田田堂はこの有機中米を市場より高額で購入することで、有機農家さんのモチベーションへ変えていただくことに加え、継続して田田田堂へ有機のお米をゆずっていただける仕組みを構築しています。
また私たちにとっても一般市場で有機米を調達するのに比べ、安価で有機米を購入できることから、お互いにwinwinな関係になっています。

昨年はお米にとっては条件の悪い年になり、収量が全国で少なく、米の価格に歯止めが利かなくなった年でしたが、2025年秋の今年はお米にとっての条件が良く、各地で豊作のニュースが伝えられています。
兵庫県の山田錦も豊作で、その粒の大きさゆえに穂先が重く、台風が来たかのような倒れ方をしている田んぼがそこかしこに見られました。
藤本さんの田んぼも例外ではなく、同じような状況の圃場が。
豊作によって倒れてしまった稲は必ずしも歓迎できるものではなく、昔からこの地域では山田錦は「倒して倒さず」という言葉があるように、完全に倒れないギリギリの大きさで収穫期を迎えるのが、農家さんの技量によるのだと、藤本さん。
一度倒れたお米は、収穫する際の稲刈り機にダメージを与えることがあったり、倒れた状態で雨が降ると、その米が発芽してしまい価値が下がってしまったりと、気に掛けなければいけない点が一気に増えるのだそうです。
クサネムとの戦い
有機農家を悩ます雑草たち。
その中でもクサネムという植物はやっかいだと、ほとんどの有機農家さんは口を揃えて言います。

除草剤を使わない有機の圃場には、ひえやあわというイネ科の植物も一緒に生えてきますが、稲刈りにさほど支障はないと言います。
いっぽうこのクサネムは茎が太くて硬く、稲刈りの際に残っていると稲刈り機を痛めることも。さらには引き抜いた後、種子を落とすことがあるため、翌年の稲作にも影響がでることも。
稲刈りの前、実りに実った圃場に入っていき、このクサネムを一本ずつ手で引き抜き、種が周りに拡散しないよう、夏の暑い日に火で燃やすという重労働があるのだそうです。

これを何十ヘクタールもある圃場で行わなければならないと思うと、実際に目にしていなくても大変な作業であることが容易に想像ができます。
除草剤を使ってしまえば簡単に抑制ができることですが、自然共存の環境配慮型農法に多くの農家さんが転換できない大きな障壁の1つであると感じました。
害虫と共存する自然農法
最後は山口県へ3名の有機農家さんを訪ねて。
山口県には2024年より、福本さんという自然農法農家さんを中心に3名の方とご縁をいただけるようになりました。

福本さんをリーダーにしたチーム山口は様々な酒米を作っておられました。
今まで田田田堂では「山田錦」という酒米のみでの展開でしたが、2025年秋の収穫からは「亀の尾」「雄町」という新しい酒米を用いて有機米商品を展開していく予定です。
またチーム山口の有機米の総収穫量は驚くべき程広く、さぞ生産にはご苦労が多いであろうと、お話を伺っていた矢先、メンバーの原田さんの口から衝撃的な一言が・・・・
「自然農法めっちゃ楽ですよ」
「ふつうは農薬や肥料を散布する作業があって大変でしょう?それがないんじゃもん」
「それに農薬・肥料買うにも金かかるけどその心配もないし」

原田さん豪快過ぎです・・・
しかし詳しくお話を聞くとそれを裏付けるだけの理由がありました。
チーム山口の自然農法には、ジャンボタニシという生き物がかかせないそうです。
ジャンボタニシは食用を目的に海外から入ってきた大きな巻貝ですが、水を好み草を食べることから、田んぼの稲が食い荒らされることがあり、多くの農家では害獣・害虫として敬遠されています。
しかし、この生態を逆手にとったチーム山口では、ジャンボタニシを自然の除草虫として大いに利用します。

ジャンボタニシは水がないと活動ができないことから、水量を調整しながらその動きを支配します。
田んぼの水量をタニシより深くすることで活動を促し、雑草を食べさせ除草させ、反対に田んぼの水を少なくすると、活動が衰え必要以上に田んぼが食い荒らされないようにするという具合です。
この微妙な水加減は稲刈り直前まで一日も休まず圃場を回って調整しなくてはいけないそうで、休みは一日もないと原田さん。
全然楽ではないよーな・・・と思いながら帰路へ。

今年も様々な農家さんのお力添えをいただきながら、田田田堂の新米有機米粉が間もなく幕を開けます。
新しい雄町の米粉や、亀の尾という珍しい品種を原料にした、田田田堂の有機米へのチャレンジ!是非お楽しみください。

