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コラム
田田田堂の新しいパートナーを求めて
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皆様新年あけましておめでとうございます。
株式会社ハニーマザーの代表を務めさせていただいております西田と申します。
本年もハニーマザー・田田田堂を何卒よろしくお願い申し上げます。
有機米を主原料として展開している田田田堂(たたたどう)ですが、昨年末に新しい有機酒米生産者さんとの出会いがありました。
新しいパートナーは山口県にあり
神戸から新幹線と在来線で約2時間ちょっと。田田田堂のあたらしいパートナー福本自然農園 代表の福本卓雄様の元へ。
美しい有機農業の圃場が、どこまでも続くような大規模な農園で、有機の圃場だけで11ヘクタール(東京ドーム約2.3個分)もあるという驚くべき広さ!
福本さんの御父様は海軍の出身で、終戦後跡継ぎが途絶えた福本家に養子に入ったことで、福本家が農家として存続ができたそうです。その縁がつながり、ご自身の代の現在も農業を継続されております。
御父様の頃は慣行栽培(農薬や化学肥料を必要とする通常農業)を主として営んでいましたが、福本さんが引き継ぐ過程で、農薬や化学肥料を使わない有機栽培に転身されました。
特に福本さんの農場は自然栽培というカテゴリに分類される農法で、有機肥料も使わず土が持つ自然の力のみを頼りに安全で環境に配慮した農業に従事しておられます。(土にはミネラルのみ使用)
土の力を借りて
福本さんは高校教師をされながら、御父様の農地を管理していた時期が長く、多くの時間を農業に割くことがむずかしかったため、一部ではほったらかし農法などと呼ばれる自然農法に行き着いたのだそう。
その福本さんがとにかくこだわるのが「土」。
福本さん曰く、慣行栽培から自然農法に転換した農地は土がカチカチの反面、長く自然農法をしている農地では冬でも土がふっくらしているとのこと。
私も実際に何種類かの圃場を案内いただきましたが、確かに土の表情が違う!
農業は土が大事とは良く聞きますが、肥料も使わない自然栽培はより顕著に土の影響を受ける農法なのかもしれません。
耕作放棄地は宝の山
そんな土にこだわる福本さんのお話で最も興味深かったのが、いわゆる耕作放棄地について。
農業従事者が不在になったことで、管理がまったくされなくなった農地のことで、外から見れば雑草がボーボーで、一般的には農地として復活させることが難しいといわれるような土地になります。
最近では少し田舎にいくと、この耕作放棄地がいたるところに見られるようになり、地元の住民や各自治体が取り扱いに頭を悩ませているのが現状です。
さらに栄養を長らく与えられていない耕作放棄地の開梱は非常に難しいようで、少しググるを下記のようなデメリットが出てきました。
耕作放棄地がもたらす問題
・土壌の肥沃度低下
肥料を施さず放置すると、土壌中の肥料成分が減少し、作物の生育が阻害されます。
・排水性・透水性の悪化
耕作されないため地力が劣化し、土壌の団粒構造が壊れて排水性や透水性が低下します。
・雑草の繁茂
除草が行われないため、雑草が繁茂し、作物の生育を阻害します。
※出典:放棄農地の問題解決なら株式会社ゴダイリキHPより
しかしこれらが福本農法の視点からすると、まったく逆の論説になり「長年農薬漬けだっった農地が、耕作放棄地になり、何年も自然にまかされた土は、活力があり自然農法の圃場としては最適なんです」と福本さん。
もちろん福本さんの長年の知見があるからこそとは思いますが、福本さんは日本中にある耕作放棄地が復活するためのヒントを沢山お持ちの方かもしれません。
新米の有機山田錦をいただく
圃場を案内いただいたあと、2024年秋収穫の新米有機山田錦を見せていただきました。
わたしたち田田田堂は酒米の少し小さな粒「中米」という規格外のお米を米粉に使用しています。
ただし中米といっても粒が小さいだけで、化学農薬や肥料を使わない有機栽培の品質が確かなものです。
今回福本さんから分けていただいた、有機山田錦は1.000kgほど。
来年は新しいパートナー福本さんの、有機中米をさらに多く購入させていただけるよう、田田田堂商品をもっと世の中に広めるという、新たな目標が私達にはできました。
自然農法に人生を
沢山の圃場をご案内いただき、福本さんの農業人生の数ページを拝聴し、帰り際にはご自宅の旧家屋にてコーヒーを御馳走になりながら、農業に対する想いをお伺いさせていただくことに。
【福本さん談】
水も空気も大地も私達の目の届かないところで、どんどん環境汚染が進行していて、私なんかが子供の頃にはどこでも見られた、ミツバチ、メダカ、赤とんぼや多くの昆虫の姿が年々見られなくなってきてるんですわ。
これらが原因かは分かりませんが、アレルギー症状をもつ人が増えてきています。人間の身体を作る食べ物が汚染されておって、いいわけがないと思うんです。
まずは自分が納得のいく安心で安全な食物を作ろう思ったんが、有機農業を志したきっかけですわ。
これからも身体に鞭打って10年後の85歳までは有機農業頑張りたいって、皆には言うとるんです。
環境に配慮した有機農法を忠実に守り、地元瀬戸内の風光明媚な自然を守り、安心で安全な農作物を身体が動く限り、作り続けていきたい思うとるんですわ。
お話を伺って、ここまでご自身の人生を捧げるものがある福本さんが羨ましくもあり、情熱の詰まったこの有機米を大切に使わせていただこうと改めて感じました。
福本さんの有機米は2026年の春以降に製粉され、全国の皆様へ有機米粉としてお届けさせていただきます。
今回訪問した山口県には、何やら山田錦以外の有機酒米もあるということで、田田田堂の有機米粉に新しいチャレンジが生まれるかもしれません。
本年も田田田堂は多くの人とのご縁を大切に、美味しさと想いをつなげて参ります。
新しいパートナーとの有機米粉。是非楽しみにしていてください。