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コラム
食べる人と産地を物語でつなぐ、山田錦の焼き菓子
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「酒米の王様・山田錦は、食べてもおいしい!」そんな贅沢な発見を皆様にもシェアしたくて、ハニーマザー定番の米粉の焼き菓子を、兵庫県産山田錦米粉(有機JAS)でリニューアル!アレルギーをお持ちの方、グルテンフリーを実践されている方はもちろん、本物を知るグルメな方にも、自信を持っておすすめできる味わいです。
目次
ハニーマザーの定番焼き菓子が、兵庫県産山田錦米粉で生まれ変わります。
アレルギーをお持ちの方や、グルテンフリーを実践されている方。 そのほかにも健康上の理由や環境意識などさまざまな理由から動物性食材を避けている方……。「食」を巡る人々の姿勢は多様性を増しています。 そんな中で、誰もが分けへだてなく一緒に楽しめる食をつくりたいと、ハニーマザーが「7大アレルゲンフリー」の自家製スイーツづくりに乗り出したのは2017年のこと。 以来、「米粉」は私たちにとって欠かせない存在となりました。これまでは、製菓・製パン向けに品種改良された、熊本県産ミズホチカラの米粉を使っていた私たち。でも、2020年に訪れた思いがけない出会いから、酒米の王様・山田錦の可能性に開眼!山田錦といえば、私たちが拠点を置く兵庫県の名産品です。人気食用米に比べると、もちもちした粘りは少なく、炊いて食べるには食感がやや劣りますが、実はその「粘りの少なさ」こそが米粉として使う時の最大のメリット。しっかりしたうまみや甘みが感じられ、焼き上がりも重くならずサクサクと口当たりがいいのです。2021年4月に初の試みとしてリリースした「山田錦サブレ」は、たくさんのご好評をいただき、今やすっかり人気商品となりました。
産地に足を運び、生産者さんと対話を重ねるうちに、私たちの内に生まれてきたのは、知られざる山田錦の魅力を、もっと広く社会に伝えたい!という思い。そこで2021年12月からは、定番のサブレやガレットといった焼き菓子の米粉を兵庫県産山田錦(有機JAS)で統一し、ギフトにもふさわしいパッケージで生まれ変わらせることにしました。
風土の贈りもの「山田錦」ってどんなお米?
ところで皆さんは、そもそも「山田錦」がどんなお米で、なぜ酒米の最高峰とされているのか、存じでしょうか。山田錦発祥の地は、兵庫県の北播磨地域に位置する多可郡多可町。この多可町で発見された「山田穂」を母に、人工交配で開発された新品種が昭和11年に「山田錦」と名付けられました。現在では山田錦の産地は全国に広がっていますが、全国の生産量の約6割は今なお兵庫県産で占められています。
山田錦が「酒米の王様」とまで言われているのにはいくつか理由があります。まず粒が大きく、吟醸から大吟醸まで精米度を高くできること。また、雑味のもととなるたんぱく質や脂肪が少なく、米の中心部に「心白(しんぱく)」と呼ばれる白いでんぷん質があらわれる点も有利です。酒米においては、この心白が充実しているほど、醸造過程ででんぷんが溶けて糖になるのが早く、スムーズなのです。
でも、高級酒米として取り扱われるのは、ふるいにかけて選り分けられた大粒のもののみ。ふるいで落とされた中からくず米を取り除いたものは「中米(ちゅうまい)」と呼ばれ、量産ランクの日本酒用にごく安値で出荷されているのが現状です。しかしながら山田錦は食用米よりひと回り大粒なため、山田錦の中米は一般的な食用米と同等の粒サイズで、規格外品というにはもったいない品質です。
ならば、この中米をいただいて製粉し、米粉として活用すれば、「三方よし」が成り立つのではないか。そう考えて、私たちと山田錦の産地をつなぐ仲介役を果たしてくださったのが、大阪を拠点とする6次産業化プランナーの空庭みよこさんでした。
志ある生産者さんと、顔の見える関係で始めるものづくり
山田錦の生まれ故郷・多可町とのご縁ができたことは、ハニーマザーにとってひとつのターニングポイントでした。山田錦に秘められた生産者さんのストーリーを知ったことで、米粉を使うことに、今まで以上に「意味」が生まれたのです。
とくに、ハニーマザーのパティシエ・西田晴美は、実家が山形の米農家だったこともあって、稲作の大変さや後継者不足、耕作放棄地の問題は決して他人事ではありません。酒米も含めて米の消費量が年々減っている中、米粉食を広げていくことで、小麦アレルギー対応食やグルテンフリーを求める方だけでなく、産地の方にも喜んでいただけるものづくりをしたい。それが私たちの新たな目標になりました。
現在、ハニーマザーがメインパートナーとして頼りにしているのは、多可町の若き生産者・藤岡啓志郎さん。ハニーマザーには、とくに農薬・化学肥料を使わずに育てた有機JAS認定の山田錦(中米)を提供してくださっています。山田錦といえば、育つのに時間がかかるうえ、稲の背が高くなるため倒伏しやすく、病気や害虫に対してもデリケートな品種というのが農家さんたちの共通認識。有機栽培に取り組む農家さんはごくわずかしかいません。そんな中で、有機栽培だけでなく、地域の耕作放棄地の活用にも取り組みながら、産地の未来を考えているのが藤岡さんなのです。
これからは、定番の焼き菓子以外でも、幅広く米粉食の可能性を探っていきたいと考えているハニーマザー。ご自宅でお菓子・パンづくりをされる方向けに、米粉の販売も計画しています。
ものづくりから、体験や交流、学びといったことづくりまで。山田錦米粉を巡って、生産者さんや購入してくださるお客様と、いろんな価値を共有していけたらと夢はふくらみます。私たちと一緒に、「山田錦米粉のある暮らし」始めませんか?