畑から生まれたソフトクリーム | ハニーマザー

ハニーマザー | マヌカハニーと暮らしのいいもの

  1. トップ
  2. ハニーマザージャーナル
  3. コラム
  4. 畑から生まれたソフトクリーム

コラム

畑から生まれたソフトクリーム

10348

2020年10月よりハニーマザー神戸店で人気の「お米のソフトクリーム」。乳成分をはじめとする動物性原材料を使わない、いわゆるヴィーガンソフトクリームで、 宗教や健康的な理由から食に制限のある方や乳成分にアレルギーのある方など、幅広くお召し上がりいただけるソフトクリームです。

 

神戸店で食べることができるヴィーガンソフトクリーム

 

4月23日にハニーマザーはおかげ様で23周年を迎えることができます。それと同日にこのソフトクリームを「お米のジェラート」に進化させインターネットやお電話を通じて全国にお届けできるよう準備しています。

定番のプレーンをはじめ、有機抹茶やカカオ・自家製の季節のフルーツソースを加えご用意しております。

 

インターネットでもご購入いただける「お米のジェラート」

 

この「お米のソフトクリーム」には、石川県産無農薬米と天然麹でつくったあまざけが使われていて、あまざけの元になる無農薬米を生産して下さっているのが松田さんご夫妻。

かつて京都で大繁盛していた焼き肉店を閉め、ヴィーガンカフェ「ヴィーガンズ」をオープンしたという異色の経歴の持ち主です。

今回は皆さんにお召し上がりいただける「お米のソフトクリーム」と「お米のジェラート」の裏に隠された、生産者さんのストーリーをお話させていただきます。

 

ヴィーガンソフトクリームとの出会い

私の娘には小麦・卵・乳製品の食物アレルギーがあり、出先で食事をとる場所はあらかじめリサーチしてから出かける習慣があります。

京都には家族で墓参りに行くことが度々あり、娘と一緒にストレスなく入れる店を地元神戸から離れた京都にも自然と探すようになっていきました。

ヴィーガン対応のお店にはアレルギー対応可能メニューがあることが多く、当時京都の伏見にあったカフェ、ヴィーガンズさんに子供たちと度々伺うようになっていました。

伏見稲荷大社という有名な神社が近くにあるとは言え、交通アクセスはさほど良くはなく、人通りの多い地域ではありませんでしたが、週末はいつも海外旅行者や京都在住の外国人で賑わう隠れたカフェ。

そこで出会ったのがヴィーガンソフトクリームでした。

乳製品にアレルギーのある娘は、生まれてからソフトクリームなるものを食べたことはなく、人生初の食べれるソフトクリームを目の前にし、心うきうき、目はらんらん。

親としてこのソフトクリームに手を合わせたい感謝の気持ちと、食を通して人生の初体験を提供する、作り手のヴィーガンズさんにとても感動したのを覚えています。

 

 

数年間いち客として食すだけでしたが、次第に同じような境遇の方たちや、ハニーマザーのお客様にも、このソフトクリームを体験してもらいたい!と思うようになっていきました。

当時ヴィーガンズ店長であった花木さんに取り扱いをお願いしたところ、このソフトクリームの考案者であり、お店オーナーの松田さんご夫妻は石川県に在住し、自然栽培農業に従事しているとのこと。運よくアポイントを取ることができ、現地にお伺いすることに。

 

松田ご夫妻 泰一さん 淳子さん

 

松田さんご夫妻と初めてお会いしたのは夏の真っ盛り。汗ばむ農作業の合間に時間を作って下さり、汗をぬぐいながら日に焼けた満面の笑みで迎えていただきました。

以前お二人は、京都で100席ほどが連日満席になる有名焼き肉店を経営しており、スタッフも20名ほどいて経営も順調。マイホームも購入し、誰もがうらやむような人生を送っていました。

ところがある日ご主人の泰一さんが、自宅のインターネットで、動物の屠殺(とさつ) シーンや食肉として育てられる動物の生々しい映像を目の当たりにした時、なんとも言えない感情が押し寄せてきたそうです。同じ命なのに、いっぽうでは商品として扱われ、自分たちはその命を消費する。。。

さらにその感情は数日経っても消えることはなく、肉だけでなく卵や魚も食べれなくなっていき、松田さん自身は動物性食品を食べないヴィーガンになっていきました。

しかし経営している焼き肉店ではお客様に食肉を提供しているという矛盾に葛藤する毎日。もう焼き肉店を閉めたい。でも家族やスタッフの生活を考えるとどうしてもあと一歩が踏み出せない。

そんな悩みを吹き飛ばしてくれたのが奥様である淳子さんの「そんなに苦しいんだったら、焼き肉店もうやめよう」という一言だったそうです。

 

当時理解してくれた奥様には深い感謝

 

その後ヴィーガンカフェ「ヴィーガンズ」をオープンすることになりますが、焼き肉店のオペレーションに慣れていたため、料理の提供がうまく行かず、オープンから1週間で一度お店を閉めてしまうほど、てんてこ舞いの毎日。

それでもどうにか軌道に乗った数年後には、ヴィーガンレストランを他の方に譲り、松田さんの奥様のご実家にあたる石川県に移住し、自然農法で畑や野菜を育てる生産者に回る決意をされたそうです。

-せっかくのレストラン経営が軌道に乗ってきたのに、なぜ手放したんですか?

泰一さん:これ僕の悪い癖かもしれないですが、やりだすととことんやりたくなる主義で、料理として提供している素材を、自身がこだわり抜いたプランで作れたらサイコーだろうなぁと思って。。。。

ソフトクリームに使うあまざけのお米も自分たちで作ってますけど、田んぼには稲を刈り取った後の藁(ワラ)を撒いてるくらいです。 肥料を加えなくても 土が自然と力をつけ、他の田んぼより粒が大きく立派な米が育つようになりました。

単純に農薬を使わないということでなく、自然と調和した農法であるということが大事なんじゃないか?と思っています。

 

松田さんの田んぼの稲穂は他と比べて、深く頭を垂れている
このお米を原料にお米のジェラートは作られています

 

ヴィーガンを数年続けて、そして農産物の生産者になって分かったんですが、人が生きていく限り、他の命を奪わないなんてありえないってことに気付いたんです。ヴィーガンの主食である野菜だって、開墾作業や薬で虫や微生物の命を奪って収穫に至りますし。食べるものをいかに感謝して食べるということが生きるということなんじゃないかな?って。

だからぼく今はヴィーガンでないです。飼育された肉や魚は食べないですが、地域で害獣として駆除される野生イノシシは食べますし、今後は自分で狩りをして解体までできるよう、マタギの技術を学んでます。

お米のソフトクリームはヴィーガンの方も食べれますが、ヴィーガンだけの特別なものではなく、食に興味がある方たちが垣根なく安心して食べられる、ソーシャルなスイーツであってほしいと思いますね。

 

畑の水は山の麓にあるお宮さんからの清流を引き込んでいる

 

この松田さんが丹精込めて作った、自然栽培米に天然麹を加え自然発酵させたあまざけをベースに、お米のジェラートはできています。

生産者さんの哲学や私たち販売者の思いがたくさん詰まったジェラート。ぜひ店頭でも、ネットからのご購入でのおうち時間でもお楽しみいただけましたら幸いです。

この記事で紹介されている商品

この記事を書いた人

西田智祐

西田智祐

株式会社ハニーマザー代表。東京のデザインホテルのバーで、バーテンダーとして修業後、独立を目指し神戸へ帰郷するも、創業者である母親の病をきっかけにハニーマザーに入社。その後ニュージーランドで語学・文化・蜂蜜について学ぶ。人と接することが好きで、お酒を交えての談笑は至福の時間(大人数は苦手)。休日は家族と過ごしたいが、ティーンの娘に疎まれることもしばしば。

SNSをフォローして最新情報をチェック

SNSをフォローして最新情報をチェック